「ぎょうえ」という着物を参拝の折に着用します。参拝したお寺に朱印があればそれを背中に押します。時間と共に参拝の記録としても自身の修行の成果としても大切な一着になることでしょう。
もともと私たちも僧侶になる時に名前を新たに頂きます。一般的にいう戒名、法号です。また幼名を改名して僧侶として生きていく誓いを立てます。私たちの僧侶の場合は旅立ちの衣装は衣になります。僧侶以外ですと一般的な納棺ではスーツなどきっちりとした格好や綺麗目な普段着の場合もそれぞれあります。そうして棺に収まった時に一番上にかぶせていただくのがこの行衣です。この時には経帷子(きょうかたびら)として掛けていただくわけです。菩提寺の住職さんが書くのが一般的ですが、仏具屋さんなどでも取り扱いがあります。また高名なお坊さん、例えば身延山で言えば法主(ほっす:日蓮宗総本山、久遠寺の住職)さんがご染筆になったもの、その印刷などもあります。いずれにしても御朱印帖と同じく参拝の足跡として使うものです。
今回は来月にある身延山のお参りで使いたいというお檀家さんの依頼を受けてご用意しました。さすがは総本山、行衣が朱色の印で埋め尽くされている参拝の方もよくお見掛けします。足しげくお参りされていることが一目瞭然であります。

この行衣に袖を通すときに一人でお参りしているんじゃない、神様仏様と一緒にお参りしているんだという気持ちになるよう一字一字筆を進めました。拙寺でしばらくお経をあげて祈りをささげてからお渡しする予定です。どうか「現世安穏 後生善処」で信仰の道を進まれますよう、お祈り申し上げます。