はっぴと同じサイズでまっさらな白地にお曼荼羅が書写されているものを行衣(ぎょうえ)といいます。
お寺にお参りするときに上着の上に羽織り、御朱印があれば背中に押していきます。お寺の参拝が増えるごとに背中の朱印はまっかっかになります。身延山や奥之院、七面山でもよくお見掛けしますね。
今日は新盆の方のお宅でこの行衣の話になりました。お父さんが長年愛用していた行衣はどうしたらいいですか?と質問をうけました。お名前が入っていなければそのままお使いいただいてもいいですし、新に新調されてもいいですよとお答えしました。
実際に袖を通してみると右前の襟からずっと下に下っていくと小さく亡くなったお父さんのお名前の自著がありました。お腹の手前にちょうどくる位置で目立つことを控えていた故人らしい位置に書いてありました。家族一同は「やはりこれは父の意志を次いでこれを着ろ」ということですかねとなりました。
故人の遺志を継いで息子さん夫婦もお寺のことには一生懸命になってやってくれています。連れ合いを送ったお母さんも初めて気づいた自著に、「あの人らしいねえ」と目を細めて遠くを見ておりました。DNAだけではなくこうしたものも引き継がれていく、そんな瞬間を実感しました。